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骨格を読む。髪の自然に逆らわないカット「ブローレス」の真価とは


15日はアーカイブです。

暑い日が続いていますがいかかがお過ごしですか。夙川の講習にいらしゃるときには大阪万博いかがですか?

骨格を読む。髪の自然に逆らわないカット「ブローレス」の真価とは

美容師として日々お客様と向き合う中で、「スタイルが持たない」「髪がまとまらない」という声にどこまで応えられるか。

その鍵を握るのが、ブローレスカット――そして、そのベースにあるキュビズムの考え方です。

キュビズムカットは“ファジー”から始まった

私がキュビズムカットの発想を形にしていく中で思い出すのが、90年代に流行した「ファジー(fuzzy)」という言葉です。

ファジーとは、「あいまい」「ぼんやり」「境界が不明確」といった意味。平成2年には流行語大賞にも選ばれました。

実はこの“あいまいさ”が、くせ毛や骨格、毛流といった自然の要素を扱う私たち美容師にとって、非常に大切な感覚なのです。カットのマニュアルだけでは、現場で目の前の髪の“重なり”や“浮き”に対応できません。

人の頭は完全な左右対称ではなく、髪もまた常に揺らいでいます。
そこに向き合うには、感覚的に“ファジー”を読み取る力が必要です。

ブローレスカット=骨格を読む訓練

先日の夙川での講習会でも、それを改めて実感しました。

モデルの澤下さんのロングスタイルを、山本さんがボブへとカット。
ポイントは「右半分だけをブローレスで処理した」という点です。

特に印象的だったのは、つむじの割れ後頭部の収まり
ただ切るのではなく、“どこに髪が落ち着こうとしているのか”を読み取ってカットしたことで、片側だけで見ても自然な立体感が生まれていました。

骨格に沿って落ちる髪を、無理に抑えず、逆らわず、導くように形にしていく――それがブローレスカットの真髄です。

髪の「落ち着く場所」は人によって違う

くせ毛のお客様に限らず、どの髪にも“落ち着きたい位置”があります。これは重力、骨格、毛流など様々な要素のバランスから決まります。

この「落ち着く場所」を見つけられるかどうかが、スタイルの持ちの差になるのです。

たとえば、「右側だけハネる」「トップがつぶれる」「後ろがふくらむ」など、よくある悩みの背景には、この“個人差”の理解不足があります。

ブローレスで「乾かすだけで決まる」を本物に

ブローレスカットは、ブラシもアイロンも使わず、ただ乾かすだけで形になるという理想を、現実の技術として落とし込んだものです。

これを可能にするには、骨格・毛流・くせの読み取り、立体的な設計、そして繊細な削ぎが不可欠です。

キュビズムカットでは、この感覚を段階的に習得できるような技術構造になっています。
だから、「うちのお客様には無理」と感じていたスタイルも、理論的に実現できるようになるのです。


最後に

今後、ブローレスカットは「カット技術のアップデート」として、さらに必要とされていくと感じています。

美容師として、“髪の自然”にどれだけ寄り添えるか。
その答えが、きっとブローレスの中にあります。

講習などで学ぶだけでなく、日々のサロンワークでも、「どこで髪が落ち着くか」「そこにどう形を添えるか」を意識してみてください。

[公開期限 2025年09月8日 12:34]