キュビズムカット俱楽部会員の皆様へ
― 年齢とともに“求められるカット”を考える ―
キュビズムカット俱楽部会員の皆様
明けましておめでとうございます。
旧年中は、キュビズムカットを通じて、素晴らしいご縁と学びを共有できましたこと、心より感謝申し上げます。
本年も、俱楽部が掲げる
「技術の深化」と「お客様への喜びの提供」
この二つを軸に、さらに進化していく一年にしたいと考えております。
皆様一人ひとりの創意工夫と情熱が、キュビズムカットの未来を照らしていることを、私は確信しています。
2026年も、共に学び、励まし合いながら、成長し続けていきましょう。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
キュビズムカット俱楽部
田中孝典
2026年、あらためて「誰のためのカットか」を考える
年明け、2026年が始まりました。
私は今年77歳、美容師歴は58年になります。
これまでの経験で得てきたこと、失敗してきたこと、積み重ねてきた思考と技術を、
凝縮した形で、これからも皆さんのお役に立てるよう発信していきます。
ここで一つ、皆さんに問いかけたいと思います。
皆さんのお店のお客様の年齢構成は、どうなっていますか?
私の場合、30代のお客様はごくまれで、
多くは70代・80代のお客様です。
では、その世代のお客様が、ヘアスタイルに本当に求めているものは何でしょうか。
年齢を重ねたお客様が求める「本当の価値」
年齢を重ねると、
・気力や集中力が続きにくくなる
・動作がゆっくりになる
・身体のあちこちが痛くなる
・頭や髪のことに、以前ほど手をかけられなくなる
こうした変化は、誰にでも訪れます。
だから私は、次の前提からスタイルを考えています。
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毎日シャンプーをしなくても、きれいに見える
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何もしなくても、形が崩れにくい
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髪が伸びても、だらしなくならない
これらを加味したものが、
70代・80代からのヘアスタイルです。
ただし、
「楽=野暮ったい」ではいけません。
今の70代は、とてもおしゃれです。
トレンドも意識しています。
だからこそ
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どこかに“今”を感じさせる
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品があり
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他人に褒められる
このバランスが重要になります。
体は衰えても、美意識は衰えていない。
そこをどう汲み取るかが、美容師の仕事だと思っています。
ブローレススタイルが支持される理由
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毎日シャンプーしなくても長持ちする
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ブローしなくても形が整う
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髪が伸びても、スタイルを維持する
これらを実現するのが、
キュビズムカットのブローレススタイルです。
アーカイブより(振り返り)
私はこれまでを振り返り、
「やりたいことをやり、好きなことをして、浮き沈みの少ない人生を歩めた」
そう感じています。
60年近くお客様を見続けてきて思うのは、
人生はプラスマイナスゼロで終わるということ。
上り詰めれば、必ず下りがある。
だから私は、人生の終盤まで“緩やかな上り”でありたいと考えてきました。
ただし、今回のコロナ禍は初めての経験でした。
特に高齢のお客様が多いサロンは、本当に厳しかったと思います。
ワクチン接種が進み、ようやくお客様が戻ってこられた時、
「持つカット」の価値を、あらためて再認識してもらえました。
ヘナ × キュビズムカットで、復活してきた実感があります。
カットは、経営を支える柱になる
私は、美容師は商売があまり得意ではない方が多いと感じています。
しかし、
「お客様が何を求めているか」
ここを突き詰めれば、カットは確実に経営を支えます。
実際、私の売上の約80%はカットです。
30年以上の指名売上データを見ても、平均月商200万のうち8割がカット。
だから私は、
他のメニューを減らし、カットを軸にしてきました。
長年やってきて出た結論は、
「余分なことはしない」ということです。
・好きなこと
・得意なこと
・続けてきたこと
そこに時間とエネルギーを集中させ、
「これだけは負けない」という柱を持つ。
あれもこれもではなく、
お客様が本当に求めていることを絞り込む。
これが、長く安定した経営につながります。
究極のカットとは何か
究極のカット、
いつまでも選ばれ続けるカットとは何か。
それは
「ずぼらな人向けのカット」
=ブローレスカットです。
何もしなくても、いつでもきれい。
人は「限りない欲望」と「簡単さ」を同時に求めます。
だからこそ、
求められる条件を満たせばいい。
これが、私がこれまでやってこられた理由です。
これからは
一つに絞って、特化する時代。
お客様の年齢とともに、
ヘアスタイルに求められるものも変化します。
その変化に気づき続け、
「求められることを満たす」
それが繁盛の秘訣です。
カット講習に招かれて(ひとり言)
以前、あるカット講習会に招かれ、
10数名の講師の方々にキュビズムカットを見てもらう機会がありました。
事前に、違いが分かるよう
・ロング
・癖のあるセミショート
・ショート
3名のモデルさんを用意してもらいました。
カウンセリングで必ず聞くのは
「どうなりたいか」「何に困っているか」。
「クセは好きだけど、思うようにならない」
では、“思うよう”とは何か。
一番多いのは
「広がる」「前髪がぺたんこになる」。
「似合うなら、お任せで」
では、ショートに。
広がりはセニングのしすぎ、
ぺたんこはトップが切れていない。
悩みのトップから切り始めると、
皆さん「なんでそこから?」という表情になります。
しかし、自然に落ちる状態で切れば、
自分で再現できる形になります。
左右対称に持ち上げてチェックする方が多いですが、
骨格が違えば、左右対称にはなりません。
ロングのモデルさんでも同じです。
規律に閉じ込められたようなワンレンではなく、
骨格に沿って立体を作る。
最後に言われたのは
「勇気のいるカットですね」。
でも私は、
設計通りの面を取り出しているだけ。
本当に伝えたいのはテクニックではありません。
どうすれば、お客様の本当の悩みを
お客様目線で解決できるか。
その考え方です。
カットは誰のためにあるのか
美容師は、
自分の思い・自分のラインを出したくなります。
それが、お客様の思いと一致すればいい。
でも、そうでなければ意味がありません。
私自身、
「お客様の思いを実現するカットとは何か」
この考えに切り替えてから、信頼が深まりました。
カットって、誰のためにあるのでしょうか。
皆さんは、どう思われますか。
「くせ毛カットが得意」と名乗るのは簡単。
でも“ネットの真実”は、
お客さまの3か月後の髪が語ります。


